傘をもたない蟻たちは

短編集である「傘をもたない蟻たちは」は、人間の欲望を着色せず醜いまま表現されている数少ない作品です。 最初の「染色」は両腕にカラースプレーを吹き付けて手に馴染ませるという不思議な習慣のある女子大生がとにかく魅力的です。主人公の青年は彼女がいながら、その不思議な女子大生に惹かれて体の関係を持ってしまうようなどうしようもない男です。正直、最後まで読み終わっても主人公は好きになれません。でもそれがこの物語のいいところです。他の小説のように綺麗で「いい人」な主人公ではなく、その辺にいる度胸はないが、理想は高く、自... Read More