アメトークの読書芸人でも紹介された小説

私が今回紹介する小説は、河出文庫から出ている中村文則さんのデビュー小説「銃」です。

アメトークの読書芸人で中村文則さんの小説を取り上げていたことから、中村文則さんの作品が気になり、この小説を購入しました。

主人公の青年が河原で銃を拾い、その銃に魅了され、生活を銃に支配されていく話です。最後に人に向かって銃を撃つシーンは衝撃的で記憶に残りました。

この青年は銃を拾った日から、生活/気持ちの根源が銃からもたらせることを感じています。

ある時から銃で人を撃ってみたいという衝動を止められず、ある女性を殺そうと計画を練ります。実際に撃つ寸前まで計画通り事を進めましたが、その事象の重さから結局撃つことができず断念しています。そこで銃を捨てようと決心します。しかし銃を捨てにいく途中の電車で、隣に座った見た目の汚い態度の悪い男に軽い気持ちで銃を向け、そのまま何気なく発射し男を殺してしまいました。私はこのシーンを見て、非常に恐怖を覚えました。青年は男を軽く脅すつもりで銃を向けましたが、結局殺してしまっています。人を簡単に殺せる能力を持つということは、その人の気持ち/気の迷い次第で、人を殺せるということです。そのことはあってはならないことなのだと思いました。

現実で考えるならばアメリカでの銃乱射事件のことを思い浮かべます。アメリカで銃を持つことは法律で禁止されておらず、銃そのものは悪ではなく、銃で殺人を行う人が悪だという考えがあるとのことですが、やはり人を簡単に殺せる能力を所持することは、先にも述べたように人間のちょっとした気持ち次第で人の生死が決まってしまう為、すごく怖く感じました。

もっと大きなことでいうならば核兵器問題です。核所有国は実際に核を使うつもりはなく、あくまで自分の国家の強さを見せつける為/交渉の材料として所有しているのでしょうが、これも政治TOPの気持ち次第でどうにでもなる危うさを持っています。これらのことは私たちの生活にとっては非常に危険な問題だと私は思います。

主人公に共感を持った部分もあります。青年は男を撃った後に、「撃たない選択を選ぶこともあることを知っていたが、結局撃ってしまった」と後悔しています。私もやってはいけないことをしたい衝動にかられてしまうことがあります。それを行うと確実に後悔するとわかっているのですが、その衝動にかられてしまいます。今のところ実際にそれを実行した事はありませんが、何かしら精神が不安定にあった場合、理性が効かなくなったり、その後のことに考えが及ばなくなったりして、それを実行してしまうかもしれません。

しかし私は銃を持っているわけではないので、簡単に人を殺すことはできません。精神的に不安定なところは人間であれば多かれ少なかれ持っているとおもいます。危うい環境に身を置かないで、不幸な事件を防ぐことができるのだと私はこの小説を読んで感じました。

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